東北電力宮城変電所

今回は東北電力宮城変電所について紹介します。

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この変電所は2 75kV送電線が4系統、500kV送電線が2系統も集まる要所となっています。宮城県北の拠点となるこの変電所に接続される送電線について見ていくことにしましょう。

まずは変電所入口がある北側です。こちらには275kV宮城幹線・鳴瀬幹線・奥羽幹線が接続されています。変電所入口と送電線の入り口がほとんど同じなので、取付道路から迫力ある光景を見ることができます。

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275kV宮城幹線

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手前から275kV鳴瀬幹線、66kV荒雄線、275kV奥羽幹線

宮城幹線は仙台市泉区の仙台変電所、鳴瀬幹線は石巻市の石巻変電所、奥羽幹線は秋田県の羽後変電所をそれぞれ結んでいる重要な送電線です。

東側には66kVのローカル線が集約されています。一つだけ、東北電力池月発電所を結ぶ荒雄線が遮断器・開閉器をこちらに置きながら地下ケーブルで北側に向かい、鳴瀬幹線と奥羽幹線の間で顔を出しています。

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接続されているのは154kV大崎線、66kV高清水線、66kV古川線、66kV中新田線、66kV宮崎線。

そして南側には275kV陸羽幹線が接続されています。

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こちらは新庄変電所を結んでいて、山形幹線とともに山形県の内陸に電気を供給する役割を担っています。先の震災では、宮城変電所の被災によりこの陸羽幹線が使用できなくなったため、山形県内の停電復旧が遅れてしまいました。その対策が、前回紹介した南山形幹線です。

そして西側には500kVの北上幹線と青葉幹線が接続されています。

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竣工が21世紀に入ってからということで、引留めの鉄構以外は全て絶縁性のSF6(六弗化硫黄)ガスで満たされた気中配管で構成されています。このようにすることで、相間の距離を短縮できるためコンパクトに配置することができます。また構造上の弱点となる割れやすい碍子を使わなくなるので、地震に強いというメリットも有ります。

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しかし、僅か数十センチで500kV送電線と大地電位が接近しているわけですから、その間の電界の強さは大変なものだと想像されます。

東北の送電網の中枢である宮城変電所、いかがでしたでしょうか。

この変電所は周囲を楽に一周でき、フェンスより高い位置で構内を見ることが出来る場所が多いので、大変観察しやすいものとなっています。見学の際には虫や動物に気をつけてご鑑賞ください。

東北電力南山形幹線建設レポート1

今回は建設中の南山形幹線についての記事です。

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南山形幹線は山形県上山市を通過する朝日幹線No.267鉄塔から分岐し、山形市西部の西山形変電所を結ぶ500kV対応送電線です。

この送電線の建設理由は、東日本大震災にさかのぼります。津波で太平洋側の発電施設がやられてしまった東北電力では、新潟からの送電が一縷の希望となりました。しかし新潟からの電力を通せる275kV送電線は、山形中央部をスルーして一度宮城側の西仙台変電所に抜け、そこから北上し宮城変電所を経由して新庄変電所まで行かないと山形県中央部まで繋がりません。震災当日、山形県の送電設備の損傷は軽微でしたが、宮城県の宮城変電所の被害が大きく山形県側でも大規模停電が発生しました。主要な275kV送電線と変電所の配置を図に示します。オレンジ破線が南山形幹線です。

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この教訓を活かして、宮城県を経由せずに山形中央部に電力を供給する使命を帯びて建設されるのが南山形幹線です。これによって日本海側の275kV送電線が繋がり、秋田方面との融通もしやすくなります。

比較的仙台から近いということもあって、建設の様子を継続して見て行きたいと思います。

6月14日の西山形変電所の様子です。目立った工事は行われていませんでした。北側の部分に500kV対応山形幹線が接続されているので、南山形幹線もこちら側のスペースに接続されると考えられます。

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変電所の南側を走る山形県道17号線では、No.44鉄塔の建設が始まっていました。

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その一つ起点よりのNo.43鉄塔建設現場には取付道路が新しく敷設されていたのが印象的でした。またNo.42鉄塔へ資材を運搬する索道が設置され、有力な輸送手段が限られる送電鉄塔建設ならではの設備を見ることができました。

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場所はとんで南山形幹線の起点部分を見ていきます。左に見えるのが南山形幹線が分岐する朝日幹線N0.267鉄塔です。かなり手前から立ち入りが制限されています。遠目に見たところ、資材の搬入をしている段階のようです。どのように分岐していくのか楽しみですね。

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このすぐ近くでは、東北縦貫自動車道の建設も進んでいます。完成すれば山形県の南北の移動が大変楽になるこの高速道路、こちらの建設状況も気になるところです。

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東京電力新筑波変電所

今回は東京電力の変電所を扱います。

最初に紹介する新筑波変電所は、私が初めて意識した超高圧1次変電所です。実はまだ詳細に調査していないので、接続されている送電線路の紹介はわかっている部分に留めます。

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個人的に、この変電所の一番の目玉は新古河変電所へ向かう新筑波線の接続部分です。ご覧ください、この驚きの低さ!!

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大変低い場所を通るので配電線は遠慮して地下に潜り、道行く人への電磁誘導を減らすためアース線が張られています。低い500kV送電線の真下では、電位の勾配がきつくなるためにビリっと来ることがあるそうですが、大地と同電位の線を高い位置に張ることでそれを防げます。

発電所の南側に行くと、消火用の水タンクなどがありますが木が高く生い茂っていて中を見ることができません。しかし離れた場所からは鉄構の規則的な美しさを眺めることができます。

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これを初めて見た中学生の私は、胸が高鳴ったのを覚えています。

木立に沿って東側へ行くと、500kV新佐原線の接続部が見えてきます。新佐原線の引留め鉄塔は堂々とした立ち姿で惚れ惚れしてしまいます。

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その奥には同じく500kVの福島東幹線が接続されています。こちらは南いわき開閉所から大子や茂木を通ってはるばる八千代町まで来ている送電線です。また回を改めて紹介したいと思います。

最後に変電所北側に接続されている154kV級送電線ですが、現在名前を調査していません。4回線という規模で接続されていますが、変電所を離れると2回線ごとに別れるようです。こちらも機会があれば名前を紹介したいと思います。

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【おまけ】

新筑波線のガス遮断器です。さすがに500kVとなると迫力がありますね。距離が近いのも良いです。

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このアングルだと、SFの世界に紛れ込んだような気がします。

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