「東北電力」タグアーカイブ

蔵王幹線小景

皆さんこんにちは。こぼしです。

お久しぶりですが、いかがお過ごしでしょうか。

先日新緑の景色を見たいと思い、日本海側へ抜けるツーリングを計画しました。

ルートは遠刈田温泉を抜けて国道113号線に合流し、そこから一気に村上へ出て、笹川流れを見てから帰ってくる計画でした。

結局南陽にでた時点で雨が降って引き返して来たのですが、その途中で蔵王幹線の素晴らしい写真を撮ることができました。

 

新緑をまとった稜線と、適度な量の雲に覆われた青空。そして、手前には田植えが終わった直後の棚田が画面に立体的な造形を与えています。その中を送電鉄塔が地形をなぞるように画面奥へとつながっていく広がりのある写真が撮れました。

ここは県道51号線が横川の集落の一段上へ登った地点です。ちょうど下の谷に横川が流れています。このクラスの送電線だと、些細な谷は一跨ぎですね。https://goo.gl/maps/ALwQiFaktpP2

275 kV東北電力蔵王幹線は、もともと本名変電所と仙台変電所を結び、只見川の水力電源と仙台の火力電源を結ぶ役割を果たす本名仙台線が前身です。東北電力で最初の超高圧送電線ということで、鉄塔の高さが低く直線的なルートが特徴的ですね。電線の位置が低いので、通過地点の木が伐採されており航空写真でも辿りやすい送電線です。

また面白い写真があったら、短い記事にしようと思います。

 

東北電力南山形幹線建設レポート4

仙台は朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。秋も深まってきましたが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

最近はなにかと忙しくブログ更新も鉄塔追っかけもできていませんでしたが、久しぶりに南山形幹線の建設現場に行ってきました。

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はじめに訪れた西山形変電所では、南山形幹線の最終鉄塔がすでに完成していました。

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南山形幹線最終鉄塔 下は4月の同じ場所

最終鉄塔の向こうではもう1基の鉄塔が完成していて、さらに奥の鉄塔は今まさに組み立てているところでした。

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南山形幹線の電線授受施設はまだ着工しておらず、資材置き場となっていました。今後は鉄塔が完成次第、工事に移るものと考えられます。

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山形県道7号線沿いのNo.43鉄塔とその前後の鉄塔はすでに完成していて、電線の架線作業がすでに終了していました。

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No.43鉄塔と、No,44鉄塔(奥) 下は4月の写真

ちょうどNo.42鉄塔の真下に巻き上げ機があり、ここから電線を送り出していたようです。

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No.42鉄塔。10月の時点ではNo.41鉄塔が完成している。下は4月の写真

片側にしか電線がないのが、手持無沙汰な感じですね。

そこから山の区間にかけてはすでに電線が張り終わり、ジャンパ線もすでに取り付けられてる鉄塔が多くみられました。もうすでに基幹送電線の風格が漂っています。

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山間を抜ける南山形幹線。下は4月の写真。

そこから起点側に移動し、前川ダム堤体から朝日幹線との分岐方面を撮影しました。昨年の9月と比較すると、鉄塔が完成し電線も張られもう営業していてもおかしくない雰囲気となっています。

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すでに去年の11月時点で完成していたNo.3鉄塔やNo.4鉄塔もジャンパ線の設置を待つのみとなっています。

朝日幹線との分岐部分は、南山形幹線との接続が完了していました。500 kV級送電線の分岐ということで、とても迫力のある外観となっています。

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現在分岐部の朝日幹線No.267鉄塔直下では東北縦貫道の建設が行われています。開通した暁には、車窓のすぐ脇で500 kV送電線の分岐を見ることができるでしょう。

いよいよ電線が張られ、現役の送電線らしさが出てきた南山形幹線。

今しか見ることのできない光景を、これからも記録していきたいと思います。

 

東北電力蓬莱発電所

 

今回は福島県の阿武隈川本流にある、東北電力蓬莱発電所を紹介します。DSC_0033

蓬莱発電所は、昭和恐慌と凶作によって疲弊した東北地方の回復を担うため、政府の出資を受け設立された東北振興電力株式会社によって建設されました。

昭和13(1938)年に運転を開始したこの発電所は、日本発送電による管理ののち東北電力に引き継がれています。

出力38,500 kWの蓬莱発電所は、ダムで川をせき止め取水したのち、水路を使い落差を稼いでから発電する「ダム水路式」と呼ばれる方法を取っています。

発電所の設備を、上流から見ていきましょう。

蓬莱発電所の取水口は、福島市飯野町にあります。このダムは飯野堰堤とも呼ばれ、桜の名所として地元の人たちからも親しまれています。

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竣工当時の写真を、大林組のサイトから見ることができます。今とほとんど面影が変わっていません。http://www.obayashi.co.jp/works/work_H682

このダムで取水された水は、地下水路を通って、数キロ下流の調整池へ向かいます。

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奥のスクリーンが発電所に繋がる部分です。

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この調整池から取り入れられた水が、水圧鉄管を通って発電所へと流れ込みます。

発電所建屋を下流から見た写真です。おそらく建設当時から現役であろう発電所建屋と、壁に掲げられた施設名が誇らしげです。

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対岸には道がなく、水圧鉄管が望めないのが残念な点です。地図には上流側に回り込む道が書かれていますが、地元の車両しか通れないことが掲示されていました。

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発電所の周囲は深山幽谷の雰囲気が濃く、道中立派な切通もあり建設時の苦労が偲ばれる部分が多くありました。

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狭い道が続きますので、来訪の際にはどうぞお気をつけて運転してください。

 

参考

東北電力:水力発電所 http://www.tohoku-epco.co.jp/power_plant/water.html

電力と震災 東北「復興」電力物語   町田徹 ISBN 978-4-8222-4999-1

東北電力南山形幹線建設レポート3

 

前回の投稿から時間が空いてしまいましたが、皆様はいかがお過ごしでしたか。

今回は建設中である南山形幹線の昨年11月時点と今年4月の現況との比較を報告したいと思います。

起点となる西山形変電所では、11月時点で存在していた建設機械が無くなりました。現在は送電鉄塔の建設を進めていて、変電所の工事は一時中断している模様です。

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西山形変電所からほど近い山形県道17号線の近くでは、11月の時点で建設中であったNo.47鉄塔が完成していました。基礎だけの状態を知っていたので、完成した姿を見たときにしばらく会っていなかった親戚の子が大きくなっていたのを目の当たりにした気分になりました。

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その鉄塔から朝日幹線方面にかけてはすでに鉄塔が完成し、電線が張られるのを待っているような状況でした。一時期活発に活動していた資材集積地も立ち入りが禁止され、延線工事の時まで一休みといった模様でした。

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そこからしばらく移動して、朝日幹線との分岐点の様子を紹介します。

朝日幹線No.267鉄塔では、現在隣に分岐鉄塔が建設されています。この様子からNo.267鉄塔は建て替えとなる可能性が高いと考えています。4月10日時点では下段の腕金が完成していました。左に見えるのが南山形幹線No.1鉄塔です。鉄塔の付近は東北縦貫道の工事のため、立ち入ることができませんでした。

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分岐点からわずかに離れた、前川ダム堤体から見たNo.3, No.2鉄塔です。どちらも完成し、亜鉛メッキの輝きがまぶしいです。その位置から振り返ると、No.6鉄塔が建設中でした。近日中に完成した姿を見せてくれるものと思います。

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一年前から追跡している南山形幹線ですが、いよいよ完成した鉄塔が増えてきていました。いつ碍子の取り付けが始まるか、期待で胸がいっぱいです。

東北電力南山形幹線建設レポート2

間があいてしまいましたが、南山形幹線の建設工事のレポート第2弾をお送りします。

前回訪問したのが7月26日だったので、各所で大きな変化が起きていました。まずは目的地となる西山形変電所から見ていくことにします。

7月時点では変電所の西側で重機が動いていて、林のほうへ向かう道を建設中でした。

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9月26日現在、道の建設は完了したようです。また一段下の平場には正方形の区画ができていて、おそらく南山形幹線最終鉄塔がここに建つことでしょう。

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西山形変電所から南に少し行ったところにある山形県道17号線沿いでは、いくつもの鉄塔が建設されている真っ最中であり、着手の早かったNo.44鉄塔は既に完成していました。直前に見たのが7月26日でしたが、あっという間に完成したようです。

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完成したNo.44鉄塔から県道を県民の森方向へ移動した場所では、県道脇でNo.45鉄塔の建設がされていました。こちらは7月26日時点で基礎の工事がなされているのを記録していますが、足元が完成してからは速いようです。ちょうど腕金が接続される部分を水平に繋ぐ材を取り付けているところでした。

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4辺を結ぶ山形鋼がまとめてクレーンで吊り上げられていきます。

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上部で待機していた作業員の方たちが、手際よくボルトを締めて固定を完了させていました。

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場所は変わって、起点の朝日幹線No.267鉄塔がある上山市です。ここでは南山形幹線No.1鉄塔が建設されている様子を確認することができました。後ろに見えているのは朝日幹線No.278鉄塔です。

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奥にはNo.267鉄塔が見えましたが、分岐に伴う工事や建て替えの準備などがなされいえる様子は遠方からでは確認できませんでした。いずれ大きな動きがあると予想されます。

No.1鉄塔の北側にある前川ダム堤体上からは、建設中のNo.1~3の鉄塔を一目で見渡すことができます。

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面白いのは丘の上にあり下からは近づけないNo.2鉄塔の現場を、望遠レンズで捉えられるということです。9月26日時点は鉄塔の姿は確認できませんでしたが、見えてくるのも時間の問題でしょう。

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No.3鉄塔の現場も部材が大量におかれていて、まもなく組み立てが始まりそうでした。

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6月から追跡を始めた南山形幹線の工事ですが、鉄塔の姿がないところから3カ月半で完成した鉄塔も出てき始めたくらいの進捗スピードです。

これからも大きな見逃しが無いように定期的に見に行こうと考えています。

最後になりますが、南山形幹線が無事完成することを祈って締めの言葉といたします。

東北電力宮城変電所

今回は東北電力宮城変電所について紹介します。

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この変電所は2 75kV送電線が4系統、500kV送電線が2系統も集まる要所となっています。宮城県北の拠点となるこの変電所に接続される送電線について見ていくことにしましょう。

まずは変電所入口がある北側です。こちらには275kV宮城幹線・鳴瀬幹線・奥羽幹線が接続されています。変電所入口と送電線の入り口がほとんど同じなので、取付道路から迫力ある光景を見ることができます。

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275kV宮城幹線

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手前から275kV鳴瀬幹線、66kV荒雄線、275kV奥羽幹線

宮城幹線は仙台市泉区の仙台変電所、鳴瀬幹線は石巻市の石巻変電所、奥羽幹線は秋田県の羽後変電所をそれぞれ結んでいる重要な送電線です。

東側には66kVのローカル線が集約されています。一つだけ、東北電力池月発電所を結ぶ荒雄線が遮断器・開閉器をこちらに置きながら地下ケーブルで北側に向かい、鳴瀬幹線と奥羽幹線の間で顔を出しています。

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接続されているのは154kV大崎線、66kV高清水線、66kV古川線、66kV中新田線、66kV宮崎線。

そして南側には275kV陸羽幹線が接続されています。

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こちらは新庄変電所を結んでいて、山形幹線とともに山形県の内陸に電気を供給する役割を担っています。先の震災では、宮城変電所の被災によりこの陸羽幹線が使用できなくなったため、山形県内の停電復旧が遅れてしまいました。その対策が、前回紹介した南山形幹線です。

そして西側には500kVの北上幹線と青葉幹線が接続されています。

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竣工が21世紀に入ってからということで、引留めの鉄構以外は全て絶縁性のSF6(六弗化硫黄)ガスで満たされた気中配管で構成されています。このようにすることで、相間の距離を短縮できるためコンパクトに配置することができます。また構造上の弱点となる割れやすい碍子を使わなくなるので、地震に強いというメリットも有ります。

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しかし、僅か数十センチで500kV送電線と大地電位が接近しているわけですから、その間の電界の強さは大変なものだと想像されます。

東北の送電網の中枢である宮城変電所、いかがでしたでしょうか。

この変電所は周囲を楽に一周でき、フェンスより高い位置で構内を見ることが出来る場所が多いので、大変観察しやすいものとなっています。見学の際には虫や動物に気をつけてご鑑賞ください。

東北電力南山形幹線建設レポート1

今回は建設中の南山形幹線についての記事です。

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南山形幹線は山形県上山市を通過する朝日幹線No.267鉄塔から分岐し、山形市西部の西山形変電所を結ぶ500kV対応送電線です。

この送電線の建設理由は、東日本大震災にさかのぼります。津波で太平洋側の発電施設がやられてしまった東北電力では、新潟からの送電が一縷の希望となりました。しかし新潟からの電力を通せる275kV送電線は、山形中央部をスルーして一度宮城側の西仙台変電所に抜け、そこから北上し宮城変電所を経由して新庄変電所まで行かないと山形県中央部まで繋がりません。震災当日、山形県の送電設備の損傷は軽微でしたが、宮城県の宮城変電所の被害が大きく山形県側でも大規模停電が発生しました。主要な275kV送電線と変電所の配置を図に示します。オレンジ破線が南山形幹線です。

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この教訓を活かして、宮城県を経由せずに山形中央部に電力を供給する使命を帯びて建設されるのが南山形幹線です。これによって日本海側の275kV送電線が繋がり、秋田方面との融通もしやすくなります。

比較的仙台から近いということもあって、建設の様子を継続して見て行きたいと思います。

6月14日の西山形変電所の様子です。目立った工事は行われていませんでした。北側の部分に500kV対応山形幹線が接続されているので、南山形幹線もこちら側のスペースに接続されると考えられます。

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変電所の南側を走る山形県道17号線では、No.44鉄塔の建設が始まっていました。

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その一つ起点よりのNo.43鉄塔建設現場には取付道路が新しく敷設されていたのが印象的でした。またNo.42鉄塔へ資材を運搬する索道が設置され、有力な輸送手段が限られる送電鉄塔建設ならではの設備を見ることができました。

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場所はとんで南山形幹線の起点部分を見ていきます。左に見えるのが南山形幹線が分岐する朝日幹線N0.267鉄塔です。かなり手前から立ち入りが制限されています。遠目に見たところ、資材の搬入をしている段階のようです。どのように分岐していくのか楽しみですね。

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このすぐ近くでは、東北縦貫自動車道の建設も進んでいます。完成すれば山形県の南北の移動が大変楽になるこの高速道路、こちらの建設状況も気になるところです。

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東北電力大堀発電所

今回は、大堀線の起点である東北電力大堀発電所を紹介します。

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この発電所は大正8(1919)年に運転を開始した歴史ある発電所ですが、仙台市によって建設されたという異色の経歴を持ちます。

実は仙台市が発電所に関わる背景には、水道事業があったのです。

それを紐解くために、仙台市の水道事業の黎明期から追っていきましょう。明治時代に仙台ではコレラが流行しました。これは飲用水の汚染が原因と考えられたため、仙台市はイギリス人W.K.バルトン氏に水道施設の設計を依頼し、明治26(1893)年に氏は実際に測量を行ったそうです。これにより、仙台は当時として先進的な水道システムを導入し、青葉区熊ヶ根の大倉川から取水して大正12(1924)年に市内への送水を開始しました。

先進的だったのは水道だけではありません。仙台市は早い段階で電気事業が有利であることを見抜いていました。そこで上水道の水路と川にできた落差を利用して発電所を作ることを計画したのです。そして電気事業を始めるにあたり仙台電力株式会社と、三居沢発電所を建設した宮城紡績電灯会社を買収し、明治45(1912)年に仙台市営電気事業を開始しました。

大正年代に入ると電気の需要が高まり、大倉川から仙台市青葉区にある中原浄水場へ引いた水を利用して、出力1,000kWの大堀発電所が建設されました。仙台市と電気事業の思わぬ関係が、この発電所にはあるのです。

その後昭和6(1931)年から昭和9(1934)年にかけて青下ダムが建設されたので、現在は青下川からも取水していると思われます。

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広瀬川の河岸段丘をうまく利用したこの発電所の上部には、仙台市水道局の中原浄水場があります。現地を見た限りでは、管轄が異なることもあり、水道局の貯水池と発電所の水路は繋がっていないようです。

貯水池の近くから広瀬川へ向きを変えた導水路は、浅い土被りの水路を通ってヘッドタンクに到達し、水圧鉄管へつながっています。

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大堀発電所、いかがだったでしょうか?思わぬところに思わぬ関係があるのが、史料研究を合わせた発電所めぐりの楽しさです。

【蛇足】この発電所は私が仙台に来て初めて寄った発電所です。定義山に行こうとしていた私は、当時県道55号線が通行止めだったのに気付かずあえなくバリケードでUターンして浄水場へ寄り道しました。その時送電線が下に引き込まれているのに気づき、坂を降りた所この発電所を見つけたのです。今回はその時撮った写真を見返して記事を書いたので、とても懐かしい気分になりました。

東北電力大堀線

今日は仙台市青葉区内で完結する、コンパクトな66kV大堀線を紹介します。この大堀線は距離にするとたったの10km程なのですが、起点は大正8(1919)年運転開始の大堀発電所、終点は明治21(1888)年運転開始の三居沢発電所という、歴史の重みが感じられる送電線路です。

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起点の大堀発電所から見ていくことにしましょう。この発電所は珍しいことに、仙台市によって建設されています。

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なぜ仙台市が電気事業を行っていたのか? と疑問に思った方も多いでしょう。実は、仙台市の電気事業は水道事業と密接な関係があったのですが、これは回を改めてお話することにします。

大堀発電所を出た大堀線は一度河岸段丘を一段登り、中原浄水場の調整池の横に出てきます。そこで大倉線と袂を分かつと一路東へ向かっていきます。聖地・定義山に続く県道55号線と平行して進んでいくと、高野原地区の南を通過し国道457号線との交差があります。

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この区間の大堀線の送電鉄塔は間に垂直な部分を挟むという手法で嵩上げされていて、まるでロケットみたいなシルエットの鉄塔です。

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457号線と交差した後は進路を南東に変えて東北自動車道と北環状線を跨ぎ、ついでに仙台幹線と交差して葛岡霊園を横切ります。DSC_1360

この時仙台変電所からの66kV国見支線と合流し、2回線鉄塔となって三居沢発電所裏手の山から接続されます。

短い路線ながら、歴史あり・嵩上げ鉄塔あり・合流ありのなかなかおもしろい路線です。自転車でもたどれますので、気になった方は是非起点から終点まで追いかけてみてください。

東北電力蔵王幹線

今回は東北初の超高圧送電線である本名仙台線を前身とする275kV東北電力蔵王幹線について紹介します。

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蔵王幹線は米沢変電所を起点として西仙台変電所へ向かう送電線ロです。今回は米沢変電所から見ていくことにしましょう。

米沢変電所はその名の通り米沢盆地の南端にある東北電力の超高圧変電所です。275kV級では蔵王幹線を始めに東北幹線、飯豊幹線、吾妻幹線が接続されていて要所となっているほか、複数の66kV送電線も接続され米沢市街地に電力を供給しています。

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西側が超高圧セクション、中央に変圧器、東側が66kVセクションという構成になっていて、左右対称に張り巡らされた母線群が大変美しい変電所です。蔵王幹線は変電所の北側に接続され、1号鉄塔で向きを変えて一路北東に向かいます。

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高畠町に入ると、国道399号線鳩峰峠を国道と一緒に越えていきます。

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いくら最短距離を採るとはいえ、メンテナンスは必要ですからアクセスしやすいルートを選んだ結果だと思われます。

鳩峰峠を越えて宮城県に入った蔵王幹線は、そのまま北東へ進みます。そして稲子峠を越えて、滑津大滝付近で国道113号線七ヶ宿街道と交差します。

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その後宮城県道51号線に沿って進み、蔵王PA西側で北に転進。川崎町支倉台を過ぎて仙台市に入ったところで再度西に向きを変え、西仙台変電所へと向かいます。ここで面白いのが仙台幹線との位置関係で、北から来た仙台幹線がなぜか南側となって蔵王幹線とともに西仙台変電所へ向かっていくのです。下は北側から撮った写真ですが、手前が154kV秋柴線を併架した蔵王幹線で奥が仙台幹線になります。

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ここは現地に行ってみて、なにか合理的理由が見つかるか調査してみたいところです。