東北電力蓬莱発電所

 

今回は福島県の阿武隈川本流にある、東北電力蓬莱発電所を紹介します。DSC_0033

蓬莱発電所は、昭和恐慌と凶作によって疲弊した東北地方の回復を担うため、政府の出資を受け設立された東北振興電力株式会社によって建設されました。

昭和13(1938)年に運転を開始したこの発電所は、日本発送電による管理ののち東北電力に引き継がれています。

出力38,500 kWの蓬莱発電所は、ダムで川をせき止め取水したのち、水路を使い落差を稼いでから発電する「ダム水路式」と呼ばれる方法を取っています。

発電所の設備を、上流から見ていきましょう。

蓬莱発電所の取水口は、福島市飯野町にあります。このダムは飯野堰堤とも呼ばれ、桜の名所として地元の人たちからも親しまれています。

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竣工当時の写真を、大林組のサイトから見ることができます。今とほとんど面影が変わっていません。http://www.obayashi.co.jp/works/work_H682

このダムで取水された水は、地下水路を通って、数キロ下流の調整池へ向かいます。

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奥のスクリーンが発電所に繋がる部分です。

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この調整池から取り入れられた水が、水圧鉄管を通って発電所へと流れ込みます。

発電所建屋を下流から見た写真です。おそらく建設当時から現役であろう発電所建屋と、壁に掲げられた施設名が誇らしげです。

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対岸には道がなく、水圧鉄管が望めないのが残念な点です。地図には上流側に回り込む道が書かれていますが、地元の車両しか通れないことが掲示されていました。

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発電所の周囲は深山幽谷の雰囲気が濃く、道中立派な切通もあり建設時の苦労が偲ばれる部分が多くありました。

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狭い道が続きますので、来訪の際にはどうぞお気をつけて運転してください。

 

参考

東北電力:水力発電所 http://www.tohoku-epco.co.jp/power_plant/water.html

電力と震災 東北「復興」電力物語   町田徹 ISBN 978-4-8222-4999-1

東北電力南山形幹線建設レポート3

 

前回の投稿から時間が空いてしまいましたが、皆様はいかがお過ごしでしたか。

今回は建設中である南山形幹線の昨年11月時点と今年4月の現況との比較を報告したいと思います。

起点となる西山形変電所では、11月時点で存在していた建設機械が無くなりました。現在は送電鉄塔の建設を進めていて、変電所の工事は一時中断している模様です。

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西山形変電所からほど近い山形県道17号線の近くでは、11月の時点で建設中であったNo.47鉄塔が完成していました。基礎だけの状態を知っていたので、完成した姿を見たときにしばらく会っていなかった親戚の子が大きくなっていたのを目の当たりにした気分になりました。

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その鉄塔から朝日幹線方面にかけてはすでに鉄塔が完成し、電線が張られるのを待っているような状況でした。一時期活発に活動していた資材集積地も立ち入りが禁止され、延線工事の時まで一休みといった模様でした。

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そこからしばらく移動して、朝日幹線との分岐点の様子を紹介します。

朝日幹線No.267鉄塔では、現在隣に分岐鉄塔が建設されています。この様子からNo.267鉄塔は建て替えとなる可能性が高いと考えています。4月10日時点では下段の腕金が完成していました。左に見えるのが南山形幹線No.1鉄塔です。鉄塔の付近は東北縦貫道の工事のため、立ち入ることができませんでした。

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分岐点からわずかに離れた、前川ダム堤体から見たNo.3, No.2鉄塔です。どちらも完成し、亜鉛メッキの輝きがまぶしいです。その位置から振り返ると、No.6鉄塔が建設中でした。近日中に完成した姿を見せてくれるものと思います。

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一年前から追跡している南山形幹線ですが、いよいよ完成した鉄塔が増えてきていました。いつ碍子の取り付けが始まるか、期待で胸がいっぱいです。