今回は福島県の阿武隈川本流にある、東北電力蓬莱発電所を紹介します。
蓬莱発電所は、昭和恐慌と凶作によって疲弊した東北地方の回復を担うため、政府の出資を受け設立された東北振興電力株式会社によって建設されました。
昭和13(1938)年に運転を開始したこの発電所は、日本発送電による管理ののち東北電力に引き継がれています。
出力38,500 kWの蓬莱発電所は、ダムで川をせき止め取水したのち、水路を使い落差を稼いでから発電する「ダム水路式」と呼ばれる方法を取っています。
発電所の設備を、上流から見ていきましょう。
蓬莱発電所の取水口は、福島市飯野町にあります。このダムは飯野堰堤とも呼ばれ、桜の名所として地元の人たちからも親しまれています。
竣工当時の写真を、大林組のサイトから見ることができます。今とほとんど面影が変わっていません。http://www.obayashi.co.jp/works/work_H682
このダムで取水された水は、地下水路を通って、数キロ下流の調整池へ向かいます。
奥のスクリーンが発電所に繋がる部分です。
この調整池から取り入れられた水が、水圧鉄管を通って発電所へと流れ込みます。
発電所建屋を下流から見た写真です。おそらく建設当時から現役であろう発電所建屋と、壁に掲げられた施設名が誇らしげです。
対岸には道がなく、水圧鉄管が望めないのが残念な点です。地図には上流側に回り込む道が書かれていますが、地元の車両しか通れないことが掲示されていました。
発電所の周囲は深山幽谷の雰囲気が濃く、道中立派な切通もあり建設時の苦労が偲ばれる部分が多くありました。
狭い道が続きますので、来訪の際にはどうぞお気をつけて運転してください。
参考
東北電力:水力発電所 http://www.tohoku-epco.co.jp/power_plant/water.html
電力と震災 東北「復興」電力物語 町田徹 ISBN 978-4-8222-4999-1