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東北電力仙台変電所その2

今日は仙台変電所に接続されている送電線路を紹介します。

DSC_0203まずは南から、運転免許センターの方から見たアングルです。

左側2つの矩形鉄塔は、それぞれ左から66kV国見支線、地下鉄八乙女線、堤通線1号、堤通線2号です。これらの送電線はこの先4回線鉄塔となり、仙台市地下鉄南北線八乙女駅まで向かいます。

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駅に着くと地下鉄八乙女線は地下ケーブルになり、駅内部の変電所に繋がります。残った3回線は水の森公園を通りぬけ、堤通線1,2号だけが水の森3丁目交差点近くの荒巻変電所に接続されます。堤通線はこの後地中を進み、堤通変電所から都心部に電力を供給しているようです。国見支線は貝ヶ森、国見と進み、最終的に葛岡霊園の中で大堀線と接続されます。

先程は見にくかった逆側を見てみましょう。DSC_0204

手前の1回線鉄塔が岩切線、次の矩形鉄塔が仙宮線1,2号です。こちらは変電所を出た後に3回線矩形鉄塔となり、免許センター内を横切って鶴ケ谷変電所に向かいます。鶴ケ谷変電所では仙宮線のみ接続という器用なことをしていました。左右の2回線が仙宮線で、最上段横3本の岩切線は接続されていません。

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その後利府街道と4号バイパスの交差点までは一緒なのですが、仙宮線がここで南に転進し小鶴新田変電所に接続されます。

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仙宮線の終点は苦竹変電所のようです。一方の岩切線は今度は代ケ崎線と一緒になって新幹線を越えますが、途中から別れて岩切に向かうようです。こちらの終点はまだ調査中です。

 

東北電力仙台変電所

今日は仙台市泉区松森にある、東北電力仙台変電所を紹介します。

DSC_0545昭和35(1960)年完成の超高圧変電所で、奥只見の水力電源と仙台火力の火力電源を結んで合理的な運用を行うことが当初の役割でした。すなわち当時最新鋭の仙台火力発電所をベース電源とし、変動する負荷は出力を変えやすい水力で賄うという方針が採られたのです。これは現代の電源構成に繋がる重要なターニングポイントとなりました。

電気事業黎明期は送電技術が未熟だったため、発電所は消費地の近くに作らなければなりませんでした。日本の都市は沖積平野ですから、もちろん水力発電はできず専ら火力発電に頼っていました。大正時代になってからは長距離送電ができるようになり、駒橋発電所に代表される大容量水力電源が運転費用の面から有利となりました。

それから太平洋戦争、終戦直後としばらくは水力発電が主流でしたが、高度経済成長で電気需要が伸び、季節によって発電量が変わる水力発電より安定した電源が求められるようになりました。

ここに来て高効率・大容量の火力発電所が建設できるようになり、米・ゼネラル・エレクトリック社の協力を得て作られたのが仙台火力発電所でした。

この火力電源と水力電源を連系させるために建設された送電線が275kV本名仙台線で、その水力側の起点が本名変電所、火力側の起点が仙台変電所でした。

DSC_0204変電所の話なのにいつの間にか発電所の話になってしまいました。今日は仙台変電所の生い立ちを紹介しましたが、次回はそこに接続している送電線路を紹介していきます。

三居沢発電所

最初に紹介するのは、近所にある東北電力三居沢発電所です。

 

DSC_0465明治21(1888)年に宮城紡績会社が織機を動かすための水車に発電機を取り付け、出力5kWで夜間のみ発電を開始したのが始まりです。これが日本初の水力発電とされています。

その後明治26(1893)年に宮城水力紡績製糸会社と改名し、出力を30kWに増強して仙台電灯株式会社に供給を開始したのが東北における電気事業の嚆矢となりました。

そして明治32(1899)年10月に仙台電灯株式会社と合併し、明治41(1908)年市内に加えて付近町村の需要を満たすため、新たに600kWの発電所を新設しました。これが現在の東北電力三居沢水力発電所です。東北地方電気事業史を見ると明治41年当時の情報が「水力三居沢第1発電所600KW, 三居沢第2発電所30KW。」とあるので、2つ出来た際に新しい方を第1と名づけたようです。建設順ではなく、出力順になっているのが面白いですね。

古い第2発電所がいつまで残っていたのかは、東北地方電気事業史には書いてありません。ですが、その名残は今も見ることができます。

 

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写真奥に見えるレンガでできた坑門が旧発電所の水路跡ではないかと考えられます。また取水位置も5kWとうい低出力から考えて、現在の郷六ではなくもっと近い場所にあったのではないかと考えられるのですが、そこはまだ推測の域を出ません。

幸いなことに発電所の隣には東北電力のPR施設「三居沢電気百年館」があるので、そこに行って学芸員の方に詳しく聞いてこようかと考えています。

この発電所に関してはまだまだ語りたいことがたくさんあるのですが、今日はこの辺りで。

 

ブログはじめました。

皆様はじめまして、こぼしです。

送電鉄塔を追いかけ始めて早9年。

大学生になってからは発電所・変電所等電力システム全般について興味を持ち、これまで各地の電力施設に赴きました。あちこち行っているうちに写真や資料が溜まり、それを私一人だけで持っているのは勿体無いと感じるようになったので、ブログという形で共有することを決めた次第です。

ここで公開される情報が同好の士、そして未来の電力マニアの役に立てばいいなぁと思います。