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関西電力 寝覚発電所

 朝の冷え込みも緩み、春の足音が近づいてきました。

 そんな中、私は春分の日と土日を繋げて4連休を取得し、中部地方に住む同好の方と木曽・伊那路を電力設備目当てに訪問してきました。

 その中でも印象に残ったのは、景勝地・寝覚ノ床の近くに位置する関西電力寝覚発電所です。

 そもそもなぜ中部電力のテリトリーである長野県に関西電力の発電所があるかというと、木曽川の電源開発は太平洋戦争前に関電の前身の一つである大同電力が行ったから、という歴史的経緯があります。

 さて、来歴に軽く触れた後は発電所を見ていきましょう。実はこの直前に、予定していたルートが崖崩れで通れなくなっていたので、逆方向から迂回してきました。

 モダンなコンクリート造りの建物からは、60Hzの音が響いてきます。生まれも育ちも50Hzな私には、遠くへ来たと実感できる音ですね。発電所裏手の変圧器から真上に伸ばされた電線は、屋上に直接引き留められた(!)碍子に接続され、送電線との開閉設備がある段丘崖上へ繋がっていきます。

建屋に直接取りついた碍子の影が、側面に落ちている。後ろに見えるのは駒ケ岳。

 その途中にあるのが、この発電所のスターと言っても過言ではない二連の1回線水平配列鉄塔です。言葉も不要の愛らしさ。足元の武骨な水圧鉄管とのコントラストも映えています。

かわいい。

そして、その上には木曽谷の発電所群を連絡する送電線とのジャンクションがあります。こちらの変電所も、裏手からフェンス越しのアングルを狙えます。

この鉄構も歴史を感じる。

 上から合流してくる連絡線も午後の斜光線に塔体を煌かせて、心なしか歓迎してくれているように見えました。

アングル材に反射する、昼下がりの光線がいい感じ。

 この日と翌日にわたり、かなり濃い内容の行程を消化したので、「木曽・伊那路電力紀行」として、シリーズで紹介していきたいと思います。

東京オートサロンに行ってきた話

 1月12日に、幕張メッセで開催された東京オートサロンに行ってきました。その中でも気になった車両の感想を3つ書いて行きたいと思います。

1. マツダ3

 東京オートサロンは、チューニングカーの祭典という側面が色濃いイベントです。しかし、近年企業の出展ブースも充実してきており、特にマツダは新型マツダ 3(日本ではアクセラで販売中)の本邦初公開の場としました。

流麗な曲面を描くマツダ3 ハッチバック

 このマツダ3は、次世代のデザインと 技術を牽引するモデルとして登場しました。まるでモーターショーのコンセプトカーのような佇まいに加えて、世界初となる圧縮着火エンジンSKYACTIVE-Xの搭載が予定されています。

 デザインの素晴らしい箇所を挙げるとすれば、フロントフェンダーからドアパネルを優雅に横断する局面と、強く絞り込まれている凹面です。プレスラインに頼らない有機的な造形は、これまでの日本車と一線を画す印象を与え、大胆な凹面はヨーロッパ車とも違うマツダ独自の美学が現れています。できることなら購入したいクルマです。

ハッチバックはお尻がいい。
2. シビック バーサタイリスト

 ホンダ車の純正オプション品を開発し、スポーツブランド「Modulo」を運営するホンダアクセスも出展していました。

 私の目を惹いたのが「シビックバーサタイリスト」コンセプトで、低く構えたかっこよさが特徴のハッチバックモデルを流行りのクロスオーバースタイルにしたものです。フェンダー部を明るいシルバーとしているのが軽快感を出していますね。そして黒いルーフが全体を引き締めていてスマートな印象を受けました。

フロントグリルがメッキではなくシルバー塗装なのが特徴です。
車高もハッチバックと比較して上がっていました。
バンパーに埋め込まれた大型フォグランプも、SUVらしさの演出に一役買っています。

 ちなみに「バーサタイリスト」とは、なんでもこなせるスマートな人間という意味があるそうです。多芸な人ということで、都市部からちょっとした未舗装路まで走れるかっこいいクルマというコンセプトを体現している名前だと思います。

 と、ここまでべた褒めしていますが、当然ながら世界で一番かっこいいクルマは、自分が運転するシビックハッチバックだと思っています。猫を飼っている人は共感してくれるかもしれませんが、他人の猫をどんなに可愛いと思っても、自分の猫がやはり一番かわいいのです。クルマだって同じです。

 「主観にすぎない」「他にもっと優れたクルマだってあるだろう」「そもそもノーマルから外観いじってないよね?」という批判もあるでしょう。それはそうです。でも、自分のクルマがかっこいいと確信できるからこそ、他のクルマのいいところを手放しで褒めることができるのです。

3. 神電 七

 最後に、電動レースバイク「神電 七」について書こうと思います。これは伝統のマン島TTにおけるTT Zeroクラスに出場し、見事5連覇を成し遂げたマシンです。マン島TT(ツーリスト・トロフィー)とは、アイリッシュ海に浮かぶ小さな島で行われる100年以上の歴史を持つ公道レースです。一周60kmの狭い公道を、トップカテゴリーでは平均時速200km/h超を保って6周も走るので、超人的な精神力が求められます。 排ガスゼロのマシンで争われるTT Zeroクラスは 、1周のみのタイムトライアル形式です。

カウルが外され内部構造がよくわかる「神電 七」

 電動バイクとはいえ、最高速度は200km/hを軽く超えるマシンですから、モータも大きいものが使われています。インホイールモータでないのは、バネ下重量を軽くしてサスペンションの動作を軽快にするためでしょう。電動化されても、チェーンによって後輪を駆動している部分に親近感が湧きます。

モータは車体に取り付けられる。剥き出しで固定されたアース線が良い。
モータ軸から上にオフセットされた位置にドライブスプロケットがついている。

 スイングアームはモータのスペースを確保するために大きく湾曲しています。その昔2stエンジンが主流だった頃、排気チャンバーとの干渉を避けるために生まれたガルアームを彷彿とさせますね。大きな違いは、神電がカーボン製だということでしょうか。軽量化を狙い、フロントフォークもカーボンでできていました。

モータを避けて大きく湾曲したスイングアーム。
NSR500(1989)のスイングアーム。チャンバーを避ける造形が瓜二つ。

 バッテリー・制御回路・モーターも熱を持ちますから、それを冷やすための巨大なラジエターが前部についています。内燃機関と違って冷却水温が低いので、出力の割には面積が広く取られています。これは燃料電池車と共通する特徴ですね。

2系統のラジエータが、大きく場所をとっている。
4.最後に

 当日はすべての展示ホールを回ってきたので、かなりの距離を歩きました。同行者のアプリによれば、10km 以上歩いたとか。

 それと、チューニングショップやアフターパーツメーカーが多いこともあり、商品をその場で購入したり、個人でも商談に移れるようにしてある出展者が多かったのが印象的でした。

 今回初めて「クルマ好きの祭典」へ行きましたが、来年もまた参加したいと思っています。

茨城の新幹線

あけましておめでとうございます。
2019年が、皆様にとって良い年となるようお祈り申し上げます。
今年の目標として、毎月1本は記事を書くことを宣言します。
どうぞお付き合いくださいませ。

 さて、私の住む茨城県は「新幹線 通過すれども 駅はなし」という大変珍しい県です。ゆえに、県内で停止状態の新幹線車両を見ることはかないませんでした。

 しかし、去る11月10日に歴史が塗り替えられました。県西部の筑西市にあるゴルフ場をメインとした複合施設「ヒロサワシティ」に、オーナーの趣味でJR東日本 E2系新幹線電車が展示されたのです。

1両だけ標準軌の車両がある。

 これにより、停止状態の新幹線が茨城県内に出現することになりました。

 ヒロサワシティは以前から、鹿島臨海鉄道の7000形はまなすライナーやEF81の北斗星を展示していました。最近ではD51を増やして話題になっています。しかし、私は県内在住でありながら今まで行ったことはなく、これは重畳、とカメラ片手に出かけてきました。

 早速11月11日に現地へ行った私は、ピカピカの姿のまま鎮座したE2系とご対面しました。そして、下から見上げる新幹線電車の迫力に圧倒されました。この金属の塊が時速300kmに迫る速さで走るのですから、そのエネルギーたるや想像を超えるものがあります。大きな変電所と超高圧送電線が必要なのも納得です。

意外と背が小さいと感じたE2系。このアングルだとノーズ内部の桁構造が浮き上がる。

 せっかくの保存車両ですから、隅々まで見てみましょう。 1週間前までは線路の上にいたので、ブレーキディスクも輝きを残していました。

車輪ディスクブレーキは男の子の憧れ。

 新幹線のパーツで、私が一番心を惹かれたのは、電気連結器です。

駅のホームでは、こんな写真は望めない。

 このいくつもある接点には、加速指令やブレーキ指令、車内放送などの信号が通り抜けていたのでしょう。これらすべての線を過たずに繋ぎ、その機能を維持することが求められていたわけです。

端子の数は100個近くもある。

 まだ現役で走行している車両もある新幹線電車を、これほどまで近いアングルで見ることができる場所はなかなかありません。

この記事を読まれた諸兄には、訪問を強くお勧めできる場所です。

九州電力黒崎発電所

 関東は、かなり冷え込みが厳しくなってきました。こんな日は、南国の暖かな日差しに思いを馳せることになります。

 というわけで、今回は南国・宮崎にある九州電力の黒北発電所をご紹介しましょう。

 黒北発電所は明治40(1907)年に日向水力電気によって建設され、九州電力管内の現役の発電所のなかでは最古のものです。訪問した2015年当時は、明治39(1906)年製の水車と200kW発電機が使われていたようです。100年以上前に作られた回転機械が現役とは、保守に携わって来られた方々に敬意を表します。

 この発電所でもっとも特徴的なのは、建屋が石造りという点です。この地域では石材業が盛んで、当時の石材加工技術は建屋だけでなく水路の建設にも発揮されているそうです。

よく見ると、石材の表面も念入りに加工されている。

 地元の方々にとってこの発電所は大きな期待と喜びを以て迎えられたようで、顕彰碑や記念碑がいくつも建立されています。また九州電力の案内看板も力が入っており、この発電所が多くの方から愛されているのだなと感じました。

題は「利用天物」で、天から与えられたポテンシャルエネルギーを人のため役立てるという意味だろうか。

 また、建屋の脇にある配電線の変圧器が非常に古そうで興味深かったです。内部の油を冷やすためのパイプが幾つも縦に走っており、ある種の美しさすら感じました。

 宮崎市中心部から南西にある清武集落に小さく鎮座している発電所ですが、九州の文明開化を告げたその姿は矍鑠として現役を貫いていました。

おまけ:黒崎発電所のすぐ近くにあるバス停の名前が、そのものズバリ「発電所入口」で、思わず記録してしまいました。

一般名詞で通ってしまうくらい有名なのだろう。

下山発電所美術館

 前回は関電トロリーバスの記事を書きましたが、この日は長野県だけでは終わりませんでした。

 大町から北に向かい糸魚川へ抜けた私は、そのまま天険・親不知を越えて富山県の入善町へシビックを走らせました。
 目的地は下山(にぜやま)発電所美術館です。「発電所で美術館?いったいどっちなんだ…」と思う人もいるかもしれませんが、美術館なのでご安心ください。

下山発電所美術館の外観。一段下がっているところは、放水路を改装したのだろう。

 正確には、大正時代に建設された水力発電所を北陸電力が入善町へ譲渡し、現代美術館へ改装した施設です。

 クルマを降りて門に向かうと、右側に水車が並んでお出迎えしてくれます。この形はフランシス水車ですね。この段階でとんでもない施設だなという雰囲気を醸し出しています。

門松の一種だろうか。

 この美術館は、3基の水車と発電機が並んでいた建屋の内部を改装して展示スペースにしてあります。3基のうち入り口から最も奥にあった設備はそのまま残されていて、芸術作品だけでなく発電所設備も鑑賞することができます。

館内は広々とした空間が広がっている。これらすべてが展示スペースだ。

 通常は館内撮影禁止なのですが、今回は特別に作品制作者の意向でカメラを使うことができました。その厚意に甘えて、美術館内部を隅々まで撮影しました。

 この発電所美術館が素晴らしいのは、「水力発電所」という特殊な用途のために作られた建物を、最大限利用して展示の空間として利用している部分です。
 特に、水圧鉄管の開口部をそのままにして、奥にスクリーンを設置し映像作品を鑑賞できる場所にしている箇所は、自由な発想で活用しているんだなと感銘を受けました。

手前のお面が展示物なのだが、設置場所はむき出しにされた水圧鉄管の内部である。

 発電所内部の機器は大部分が撤去されていますが、1基の水車と発電機は保存されており、こちらにもしっかりした解説がついていて楽しむことができます。

1基だけ残された水車。外形は軸方向に長く、珍しい。

 この下山発電所は段丘崖の小さい落差を利用しているため、出力を上げようとすると流量を増やす必要があります。そこで、より大きな回転力を取り出すために、横軸フランシス水車を背中合わせにした「横軸二輪単流前口双子式フランシス水車」を採用していました。そのため、水車のケーシングが前後に長い独特な形状となっているのです。

関西電力旧八百津発電所の放水路にも、同じ形式の水車が設置されていた。
独・ホイト社で1925年に作られたそうだ。

 また、2階の奥は休憩スペースとなっているのですが、なんと系統連系用の機器が並ぶ中央に椅子があり、丁寧に解説も付属しているという充実ぶりでした。

落ち着きのある空間に思える。しかし、一部の人にとっては大興奮間違いなしだ。

 この美術館で最も衝撃を受けたのは、駐車場へあたかも当然のようにフランシス水車が鎮座していたことです。確かに駐「車」場ですから、水車があっても問題はないのでしょう。しっかり枠線の中に「駐車」されていて、腕も確かなようでした。

日本全国を探しても、フランシス水車と並べて駐車できる場所は少ないだろう。

 自分とは全く違う視点で発電所を捉えた施設に入ったことで、これまでにない満足感と楽しさを覚えながら美術館をあとにしました。

黒部アルペンルート・関電トロリーバス乗車記録

時系列が前後しますが、9月23日に黒部ダムへ行ってきました。
目当ては今シーズンで営業を終えた、関西電力のトロリーバスです。

 訪問の動機として、幼い時に乗った記憶が残っておらず、もう一度記録したいという思いがありました。それに加え、後輩からトロリ線の分岐部(フロック)がどんな構造になっているのかと質問された時に、確信を持って答えられなかったことが決め手になったと言えるでしょう。理屈としては頭に入っていても、実物を見て構造を理解しないことには気がすまない性分なのは、幾つになっても変わりませんね。

朝6時の扇沢駅

 当日は混まないようにと三連休の中日を狙ったのですが、朝6時にもかかわらず切符売り場には200m近い列があり、朝一番のバスには乗れませんでした。前日は天候が悪く、乗車を見送った人が多かったようです。幸い、第二便のバスに乗ることができました。

トロリーポールの先端には、トロリ線と接触し集電するスライダーがある。

 さすがに席へは座れず立ったままの道中となりましたが、モータ駆動独特の滑らかな加速を感じたり、分岐部で5km/hまで減速する様子を不思議に思ったりしながら黒部ダムに到着しました。

黒部第四ダム。観光放流に陽が当たらなかったのは残念。

 この日は記念撮影のカメラマンが「こんなに天気のいい日は一年に何度もない」と言うくらいの快晴でした。惜しむらくは、朝早かったのでダム堤体に光が当たらなかったくらいでしょうか。本当に気持ちのいい晴れで、ところどころ色づいた山肌が非常に美しく感銘を受けました。

 さて、多くの人がケーブルカーを利用して室堂方面へ向かう中、私は踵を返してもと来た駅へ戻ります。これからが本番であるトロリーバス設備観察の始まりです。さすがに扇沢へ向かう人の数は少なく、行きはバス6台で満員でしたが帰りは2台で全員座れるくらいの人数でした。

バスなのに電流計があるのは新鮮。

 首尾よく前から2列目の席を確保したので、ところどころ動画撮影をはさみながら、トロリ線の構造をずっと観察していました。き電吊架線が2組使われており、贅沢な設備だと思います。9月の初めに訪れた銚子電鉄の設備が脳裏をよぎり、すこし感傷的な気分になってしまいました。

行き違いの様子。き電吊架線が4条も並ぶとは贅沢だ!

 トンネル内部の交換設備では、いよいよ分岐部の観察です。幸い前車がいたので、そのトロリーポールの動きをじっくり記録しました。しかし、肝心のフロックの構造はよく分からず、悔しい思いをしたのを憶えています。

ポールの動きは良く見えたが、分岐部(フロック)の構造はよくわからない…。

 それでも諦めずに、窓へ顔を押し付けるようにしてシャッターチャンスを伺ったところ、扇沢のホームに到着する直前にフロックを撮影することができました。

扇沢駅のフロック。トロリーバスはこの分岐を必ず左へ向かう。

 扇沢駅はループ状になっているので、必ず進行方向左側へ分岐します。フロック部をよく観察すると、左側へは金属の板が連続していて、スライダーを案内しようとしているのがわかりますね。一方、逆方向から向かうときには、スライダーが金属板を乗り越える構造になっています。通過時に5km/hの速度制限がかかるのも納得です。

アップでご覧あれ。左へは金属板が連続しているのが確認できるだろうか。

 フロックの構造を撮影できた私は、満足して降車しました。見送るバスの車体には、今シーズンでトロリーバスの運行を終了する旨が書かれており、一抹の寂しさを醸し出します。しかし、歴史が刻まれる瞬間に立ち会っているのだなという思いの方が、私の胸をより熱くさせました。

まともにトロリーバスの車両を撮った写真がこれくらいしかない。

 来シーズンからは蓄電池を搭載した電気バスでの運行になりますが、いったいどんな設備を見ることができるのかと、今から期待を膨らませている私です。

養老渓谷・鋸山訪問

 

お久しぶりです。

もう11月も終りとなりますが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

私は三連休の初日に房総半島へ行ってきました。

最大の目的は洲崎灯台だったのですが、欲張って養老渓谷と鋸山も訪ねました。

朝9時近くになって紅葉目当ての養老渓谷につきましたが、三連休で親子向けのイベントが開催されており、クルマを止めることができません。仕方なくその先の観光センターに向かったところ、ちょうど紅葉谷という場所があったのでそこを目指してシビックを走らせました。

一部の樹だけが色づいていたものの、朝日に照らされた紅葉を撮ることができました。

朝早くに行くと混雑は避けられますが、光線状態として厳しい場合がありますね。11月初旬にも早朝の鳴子峡へ言ったのですが、カメラには厳しい条件でした。

その後は千葉県道81号線を走って最短で鴨川に抜けました。

房総半島はちょっとでも海岸線から離れると、山道になって運転が難しい道ばかりになる印象です。かなり幅が狭く、離合困難な道が何キロも続いていました。

国道128号線をしばらく走って道の駅和田浦で小休止をしたところ、すぐ隣の内房線和田浦駅に電鉄用変電所がありました。鉄塔が白く塗られていて、房総の青空によく映えています。ちゃんと電力要素は忘れてませんよ。

その後は国道410号線へ進路を取り、野島崎を回って相浜海水浴場にほど近い相浜亭でお昼をとりました。

さて、ウツボといえば「海のギャング」と恐れられる獰猛な生物ですが、メニュー曰く「今が旬!」らしくウツボ丼としてオススメされていました。大きな天ぷらとなって目の前に出てきたその身は淡白な味でしたが、皮との間にかなりの脂が乗っていてボリュームたっぷりでした。お吸い物もウツボのつみれ汁で、こちらもプリプリの歯ごたえと大柄なサイズの団子で、大満足の食事となりました。

お腹を満たした後は、本日の到達目標である洲崎灯台に向かいました

9月の初めに行った犬吠埼灯台と比較すると、ずっと小さく敷地も狭いものでした。あまつさえ端には家庭菜園(!)があり、引きの構図を取ることが困難で、ファインダーへ収めるのに苦労しました。

ひと段落して東京湾を行き交う巨大なタンカーやLNG船を眺めつつ眼下の洲崎漁港に目を向けたところ、沖合に使われていなさそうなコンクリート構造物をみつけてしまいました。

いわくありげだなと思っていたのですが、帰ってから太平洋戦争時の兵器である「震洋」の基地ではないかと知人から指摘がありました。

灯台をあとにした私は北上を続け、鋸山へは南側から有料道路を使って登りました。

鋸山登山道には強烈な上り勾配とコンクリートを吹き付けただけのトンネルがあって、なかなか刺激的な道でした。頂上付近では太平洋を一望できるスペースもあり、ところどころに植えられた南国風味のソテツも相まって異国のような雰囲気がありました。

クルマを降りてロープウェイ乗り場の方へ向かい、山頂から東京湾側を望みました。ちょうど久里浜と金谷浜を結ぶ東京湾フェリーが到着するところで、防波堤の中に入ってから転回し着眼するまでをずっとカメラで追っていると、仙台港の太平洋フェリーを思い出します。

その後はロープウェイが昇り降りする光景を撮影したりと、乗り物ばかり撮っていました。

有名な地獄のぞきですが、1時間ほど並びそうだったので諦めて大仏のところまで下りました。ところで、鋸山はとても脆い凝灰岩でできています。歩きながら崖に手をつくと、砂となって手についてくるほどの削られやすさです。なので、せっかく崖に彫った大仏像も長年の風雨によって形が崩壊し、近年大規模に手を加えた結果が今の姿なのだと解説にありました。

その後は東京湾アクアラインを通って帰路につきましたが、木更津料金所を通過する前から渋滞しており、登山で酷使した脚をさらにクラッチ操作で消耗しないように、のんびり一定の速度で走りました。

ゆっくり走ったおかげで、君津にある新日鐵住金の高炉群を見る余裕があったのは怪我の功名と言えるかもしれません。

海ほたるの時点で西の空は残照があるだけとなり、川崎で再び地上に出たときには、もう闇の中でした。最近は本当に日が暮れるが早いですね。

東京で友人と別れたあとは、アクアラインとは比べ物にならないくらいスムーズな常磐道で帰路につきました。

すべてが初めて訪ねた場所だったので、自らの知見が大きく広がったような気がする房総半島の小旅行でした。

 

500kV東京電力新茂木線

皆さんこんにちは。

4月になり、環境が大きく変わった方が増える季節となりましたが、かくいう私も気まま部分の多かった学生生活に終わりを告げ、杜の都を離れて社会人としての生活を始めました。

慣れない環境での5日間の後実家に戻り、自家用車を転がし桜前線の追っかけをした土曜日の帰りに、とても面白い天候と出会いました。

南と東の空は雨雲の暗くて厚い雲に覆われているのですが、日が沈む西の空の地平線だけ雲が切れていたのです。

 

「これは劇的な画が撮れるぞ」という予感がした私は、ちょうど国道4号線上阿久津バイパスを降りて鬼怒川堤防の脇にクルマを止めました。

そこは東京電力新茂木線が通過しており、遠くに栃山線・栃那線との交差部分を望む場所でした。

そしてしばらく待っていると、お待ちかねの太陽が雲間から顔を出してきました。

太陽に露出を合わせたせいで、雲を背景とした鉄塔の上部が相対的に地味になってしまいましたが、陽光を受けて輝く導体が表現できて満足しています。
やはりカメラをこまめに触っていないと、ここぞというときに最適な設定と構図を決めるまで時間がかかってしまいますね。

あっという間に太陽は沈んでしまい、賞味10分間しか時間はありませんでしたが、とても良い光景を記録することができました。

新年のご挨拶

謹賀新年
旧年中は大変お世話になりました。
今年もよろしくお願いいたします。


昨年は公開できた記事が非常に少なかったので、今年は去年より多くの記事を公開することを目標にしたいと思います。

今年は環境が大きく変わる年となりますが、変わらず趣味を大切に過ごしていきたいと思います。

皆様にとって今年が良い年になりますよう、お祈り申し上げます。

2018年元旦 こぼし

燃料電池車「クラリティ FUEL CELL」試乗レポート 運転編

前回に引き続き、ホンダの燃料電池車であるクラリティ FUEL CELLのレポートです。今回は実際に運転した感想をレポートしていきます。

オプションのレザーシートに着座してみると、正面の大きな液晶画面に映し出された速度計とモーターの力行と回生を示す半円のバーグラフが現われます。また、フロントウィンドウ下部には速度計が投影され、少ない視線移動で現在の車速を確認することができます。

コンソール上のシフトボタンにはP, R, N, Dの4つのポジションがあり、いずれかを押すと表示画面上へ文字が表示されます。後退のけでRシフトに入れることが可能です。電気モーターで走る燃料電池車は変速という概念がないので、普通に走行している分にはシフトポジションを気にする必要はありませんでした。

コンソールにはSPORTモードがあり、このボタンを押すとアクセルの踏み込みに対してより出力の変化が鋭く対応します。また、アクセルを放したときの回生も通常より強くかかり、前へ荷重を移動させて気持ちよくコーナーに入ることが可能です。しかし、モーターがあまりに鋭敏に右足の動きに反応するため、よほど気をつけないと加速と減速が小刻みに入り交じり乗り心地が悪化してしまいます。狭い峠道を下る場面では重宝しました。

今回試乗したルートですが、ホンダカーズ台原店を出発したのち国道48号線を西へ向かいました。そこから北環状道路へ進み、途中芋沢の小さな峠を越えて国道457号線へ。また途中から大國神社脇へ逸れて、そのまま舗装林道を通過して大倉ダムまで抜けて定義如来で撮影タイムをとりました。

    • 街中~40km/h程度
      クラリティにはブレーキホールド機能があり、停止中は自動的にブレーキを保持しアクセルペダルを踏むと解除してくれるため、赤信号に頻繁に止められる市街地では大変便利でした。発進から息継ぎも不快な振動もなくスルスルと加速する感覚は、どんなに高級な内燃自動車でもまねできない上質なフィーリングで感動しました。一方で、少々の段差では突き上げるような感触がありました。それほど衝撃は大きくなく、一回で収束する揺れなのですが、これは1.9tにも及ぶ車重を受け止めるために足回りを固めた結果でしょう。狭い路地にも入りましたが、1875mmの車幅がありながらAピラーからボンネット先端までの長さが短くダッシュボードの位置も低いため、車幅感覚の把握は容易でした。

    • 郊外~6okm程度
      まず特筆すべきは車内の静粛性です。この速度になるとモーターのノイズはほとんど目だたないうえ、相対的に大きくなるロードノイズも非常に小さく楽に会話をすることができました。この速度域から、クラリティの持つハンドリングの良さが際立ってきます。まるでハンドルの中立が保たれているかのように、直進安定性が素晴らしいです。そこからハンドルを切っていっても、車重を全く感じさせない軽やかさと正確性で自在にクルマの向きを制御できて「思うまま操れる」という言葉のままのハンドリングでした。しかし、この速度域でも路面からの僅かな突き上げを感じることがありました。
    • 自動車専用道~80km/h程度
      高速道路こそクラリティの持つ車体とサスペンションが真価を発揮する場面だと感じました。60km/hから80km/hまで苦もなく加速し、さらに少し上の速度域でも非常に静かに走行できるので、長距離を移動したときの疲労は他のクルマと比較しても小さいでしょう。低い位置に抑えられたダッシュボードは前面視界の拡大に繋がり爽快感がありますが、高速走行での安心感も同時に両立しています。一般道では堅さが目立つ印象を受けたサスペンションですが、80km/hからはどんな衝撃も一回の揺動でいなし、常に安定した接地感を伝えてくる大変優秀な足回りであると感じました。

【まとめ】
今回ホンダの燃料電池車であるクラリティ FUEL CELLに試乗した結果、長距離を快適に移動できるグランドツーリングカーとして利用するのがこのクルマのもっとも優れた部分を味わえるだろうという感想を持ちました。事実、ホンダは燃料電池車がバッテリー式電気自動車よりも航続性に優れる点をいかして、長距離都市間輸送に焦点を当てているようです。もちろん街中で大人4人が乗るセダンとして何の不便も感じず利用できますし、それを可能としたパッケージが実現するということが、燃料電池車普及へ向けたステップがまた一つ進んだことを感じさせてくれました。

今後水素の効率的な生産・販売インフラがさらに整備された暁には、クラリティでめいっぱい遠出してみたいと感じさせてくれるクルマでした。

蛇足:水素ステーションに行ったのですが、日曜だったので閉まっていました。充填作業を見たかったのですが、残念。