燃料電池車「クラリティ FUEL CELL」試乗レポート 外観・装備編

今回は毛色を変えて、クルマのお話しです。

宮城県では自動車ディーラーに補助を出すことで、次世代の自動車と呼ばれる水素燃料電池車の貸し出しを行っています。排気ガスを出さず、走行時に出てくるのは水だけというエコカーを、4時間4,000円・6時間5,000円という価格で借りることができるのです。現在トヨタ・MIRAIが723万円、ホンダ・クラリティ FUELL CELLが766万円(リース販売)ということを考えると、これは破格と言ってもよい値段です。借りるにあたり複数の条件はありますが、これは一度乗っておきたいということで後輩と一緒に運転してきました。その時の感想をまとめていきたいと思います。

私が今回借りたのはホンダ・クラリティ FUEL CELLです。カテゴリとしては、高級セダンに分類されるでしょう。しかし、シビックセダンと同じように斜め前から見るとクーペのように見える流麗なルーフラインが特徴的で、先進的な雰囲気をまとっています。また、燃料電池車は大きなラジエータが必要なために巨大なグリルを設けたりしますが(MIRAIがいい例)、クラリティは前面開口部をいたずらに大きく見せないデザインとなっています。ちなみに、なぜ大きなラジエータが必要かというと、燃料電池セルの作動温度はガソリンエンジンほど高くならないため、冷却水温度が下がる分単位面積当たりの冷却効率が下がるからです。

ガソリン車と異なる部分としては、フロントフェンダー上部に燃料電池セルで反応した後の空気を排出するエアアウトレットがあるのが特徴的です。

ボンネットを開けてみると、今回からフロントボンネット内に搭載された燃料電池スタックがお出迎えしてくれます。カバー前部からフェンダー上のアウトレットへパイプが伸びているが確認できます。

興味深かったのが水素タンクの充填期限シールです。法律で15年間だけ使用できると決まっているので、この車体に搭載されるタンクは16年製だとういことがわかりますね。

燃料電池から排出される水の出口は、後部左側の奥にあります。ホンダの燃料電池スタックはトヨタのものに比べて作動温度が高いため、発生する水分の多くが気体となるので液体の水がドバドバでてくるといった感じではなかったのが印象的でした。ついでに写っているリヤのサスペンションアームは、軽量化のためすべてアルミ鍛造製になっています。

もう一つ外見で特徴的な部分は、後輪の一部を覆うスカートでしょうか。初代インサイトを思い出しますね。こちらはタイヤの前面まで回り込むものではありませんが、下半分は後輪前部から導入したエアカーテンを使って空気抵抗を下げているようです。

次に、内装を見ていきます。ダッシュボードは横に直線が入っており、解放感を強調するデザインとなっています。センターコンソールは上段にシフトボタンがあり、その下にはスマートフォンや小物を置けるトレイが設置されていて、うまく空間を利用しているなと感じました。特に下の小物入れのデザインは秀逸で、すぐ近くにUSB端子やHDMI端子があり、デバイスを接続しつつも安定した状態で置くことができるようになっているのはすごく便利ですね。エアコンは左右で温度が選べる仕様となっています。

運転席のシートはオプションのレザーだったのですが、腰と太ももを受け止めてくれて安心して座れました。正直この価格帯のクルマの座席に座ったことがほとんどないので、ここは自信をもって書けない部分です。シートは電動で、二つのプリセットポジションが選べるようになっていました。シートヒーター付きは寒い場所では重宝しますね。

後部座席ですが、基本大人2人がゆったり移動できて、緊急時に3人掛けにできるといった感じでした。この点MIRAIの後部座席はは2人と割り切っていますから、本当に「いつも乗るセダン」として使えるのという点ではクラリティに分がありますね。FFではありますが、剛性確保のためかセンタートンネルがあります。また、後部座席ではフロントシート下につま先が入るので、ゆったりと座れました。座席下と背面に二つの水素タンクがあるのですが、その存在を全く感じないパッケージングでした。

面白いのが後席上部に設けられた覗き窓です。リヤガラスが寝ているため、後方の視界を確保するために工夫がなされています。

トランクを開けると水素タンクの張り出しが目立ちますが、容量は同社のセダンであるアコードと同等なようです。大人2人が普段使いするには十分なスペースをもっています。

 

次回からは運転のレポートに移りたいと思います。

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